【東京】 2014年10月16日(木) - グローバルにコンサルティングサービスを展開するタワーズワトソン(NYSE, NASDAQ:TW)による最新の2014グローバルM&Aリテンションサーベイによると、合併または買収を最近完了し、かつリテンション契約を活用した企業では、理想的な社員のリテンション(引き留め・つなぎとめ)戦略の策定は、困難なものと捉えられている。同調査では、重要な社員を引き留めるためにM&A遂行時に企業がとった戦術を分析し、リテンション契約の有効性を評価した。

リテンション契約を締結した社員のうち、リテンション期間の全期間を通して残留した社員の比率が高い割合(80%超)に達した企業は、回答企業の3分の2以上(68%)であった。しかし、リテンション期間終了後の1年後が経過するまで、大半の対象者(80%超)が残留したと回答した企業は、半分以下(43%)に留まっている。リテンション期間終了前に退職した社員の主な退職事由は、組織文化の変化に対する懸念であった(48%)。

「社員を長期間つなぎとめるための『力学』に企業がもっと注目すべきなのは明らかです。」とタワーズワトソンのM&Aサービス部門グローバルリーダー、Mary Cianniは述べている。「M&Aに関わる企業は、当該案件において企業文化がどのような影響を及ぼすのか、という点を理解したうえで、社員の意欲を高め、案件のできるだけ早い段階で、主要な社員に対して個別に働きかけを行うべきです。このような取り組みを通じて、リテンション期間終了後もキー社員が残留する可能性が高まり、合併の成功確率が高まるといえます。」

さらに、本調査では、合併および買収(M&A)において主要な人材を引き留めることの重要性が確認された。調査に参加したほとんどの企業が、戦略上の目的を達成したと回答したが、リテンション(残留)率の高い企業と低い企業では、その達成確率において明らかな隔たりがあった。リテンション率の高い企業(リテンション契約に定める期間満了時までのリテンション率が60%以上)のうち9割近い(88%)企業が、案件の戦略上の目的を達成したと回答した。一方で、リテンション率の低い企業(同40%以下)で、戦略上の目的を達成したと回答したのは3分の2(67%)に留まった。

「リテンション率の高い企業と低い企業との目的の達成の格差は、人材引き留めが案件成功に重要な影響を及ぼすことを明確に示しています。リテンション率の高い企業は、案件の事業上の目的を達成に向けて価値を生み出すのは人材であると位置づける点で、他企業に秀でているといえます。」(Mary Cianni )

調査結果は、リテンション契約の対象となる候補者を特定することの重要性を浮き彫りにしている。リテンション率の高い企業においては、案件の成功に影響を与え得る人材を特定し、リテンション契約の対象にする比率は、リテンション率の低い企業と比べてかなり高い(73%⇔リテンション率の低い企業は33%)。継続雇用の対象となる社員の主要な選抜要因として企業が挙げたのが、案件の成功を左右する重要なスキル(63%)、ポテンシャルの高い人材(45%)、職務内容・機能(44%)である。

「適切な人材を引き留めておくことは非常に重要です。そのためには、案件成功に最も重要な人材、役割、機能をきちんと特定することから始まります。買収の検討時もしくは買収直後に新しい社員を探し、採用し、組織に馴染んでもらうのを待つよりも、主要な人材を残留させるためのステップを踏む方が効率的であることは明らかです。」(Mary Cianni )

リテンション契約の対象となる社員の選抜にあたって、62%の企業が、対象企業の上級幹部から得た情報が最も有用であったと回答した。ここでもまた、リテンション率の高い企業は、リテンション率の低い企業と違いを見せている(66%⇔リテンション率の低い企業は27%)。また、リテンション率の高い企業は、その低い企業よりも選抜プロセスで経営陣に裁量を与えている度合いが高い(32%⇔同8%)。

可能な限り早期に経営幹部とリテンション契約を結び、彼らを巻き込むことで、プロセス全体を通して経営幹部を案件に関与させるが可能になる。3分の1近く(32%)の企業が、案件の最終契約書締結前に経営幹部にリテンション契約の締結を求めたと回答している一方で、最終契約書の締結時に締結を求めたという企業は22%であった。「リテンションはまず経営幹部から始めるべきです。」とタワーズワトソン株式会社、 経営者報酬部門統括、ディレクターの森田純夫は述べている。「買収等の対象会社の経営幹部が、案件に全面的に関与し、買い手側の買収の目的および戦略に沿った形で行動してもらうことは欠かせません。また、経営幹部の行動は社員の引き留めとエンゲージメントという観点からも非常に重要です。経営幹部が自身の将来への不安で職務に集中できない状況は極力避けるべきであり、新会社の成功に向けて、その幹部が明確な当事者意識を持ってもらえるかどうかが、成功を左右するといえます。」

より興味深い調査結果のひとつとして、案件の規模(=買収価額)が大きいほど、リテンションを目的とした金銭報酬の買収価額に占める比率が相対的に小さいことが分かった。ほとんどの企業が、単に残留してもらう社員を最大化するということではなく、必要十分と考えられる人数の主要社員の残留を促すことを念頭に置きつつリテンション関連のコストを検討したと回答している。総額では払い過ぎにならないようにしつつ、個人別にリテンション上十分な額となるよう、配慮を行っていることがわかる。

リテンション契約で最も一般的に使われる金銭報酬は、キャッシュボーナスであることは予想通りである。しかし、印象的ともいえるのは、キャッシュボーナスのみ、またはキャッシュボーナスとその他の報酬との組み合わせのいずれかをリテンション契約で採用していた割合が、リテンション率の高い企業(経営幹部80%、社員89%)が低い企業(経営幹部50%、その他の社員55%)よりもずっと高いという結果である。

タワーズワトソンが2年前に同様のリテンションサーベイを行った際には、業績評価のみに基づいてリテンションの支給額を決めているのはわずか1%であったが、今回同じ回答をした企業は、経営幹部については14%、その他の社員については16%に増加した。今回の調査では、経営幹部のリテンション契約については、対象期間と業績の双方を考慮するという方法が一般的であった。一方で半数近く(48%)の企業では、経営幹部以外の社員を対象とした支給額決定の際は、対象期間のみを考慮していることが分かった。

「支給額の決定に際して、過度に特定の業績評価指標に依存することは裏目に出かねません。達成不可能な目標や、自身でコントロールできない指標で評価されるとなると、社員は転職を考える可能性が高くなります。仮に会社に残ったとしても、策定したときに比べて著しく達成困難な業績目標が与えられた場合、意欲が低下してしまう恐れがあります。」(森田純夫)

本調査について:
2014 グローバルM&Aリテンションサーベイ』では、買収または合併時におけるリテンション契約の内容、活用また有用性について、特に金銭的要素に焦点をあてて分析を行った。調査の参加企業は、過去2年間に同企業が開始または完了した特定の合併または買収について回答した。社員数500人以上(米国が本社所在地の場合1,000人以上)、過去2年間に合併または買収を完了し、それらの案件の少なくともひとつでリテンション契約を使用した企業を調査の対象とした。14か国(オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、ドイツ、インドネシア、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、シンガポール、韓国、英国、米国)の248社から回答があった。これらの企業は実質的にすべての産業分野にわたっている。回答を寄せた企業の69%が上場企業である。案件の32%がグローバルで、10%がリージョナルであった。

タワーズワトソンについて:
タワーズワトソン(NYSE, NASDAQ: TW)は、人事・財務およびリスクマネジメントの領域において企業の業績向上を支援する、世界有数のプロフェッショナルファームです。全世界に約14,000人の社員を擁し、報酬制度、退職給付制度、福利厚生制度、タレントマネジメント、リスク及び資本管理、資産運用の分野におけるソリューションを提供しています。