河原 索 

河原 索

コンサルタント

タレント・リワード セグメント
組織人事部門

中国でさえも一本調子の成長が見込まれなくなった今、ほとんどの海外市場において不確実性が高まってきています。それによって人材量の投入・確保が海外事業の重要課題であった段階は徐々に終わりつつあり、人材の高度化が海外拠点の重要なテーマになってきています。全体のパイの成長が確実でない市場においては、マネジメントの質を高めてくことこそが、競合を振り落として勝ち残っていくための重要条件になってきています。

別の言い方もできます。グローバル人事が進んできている日本企業において、海外拠点の部長級まではある程度可視化され、また管理、人材開発も行き届くようになってきています。一方で、各現場の要となる課長級については可視化がされていないだけでなく、今後の幹部登用に向けた育成施策も十分にできていない会社が多いのではないでしょうか。2,3年のスパンで人材経営を考えた際には、今からこの層に対しての投資を行っておくことは、人材の成長から来るリターンが大きいことに加え、優秀人材のリテンション施策としても非常に効果があります。

こうした課題に対応し、今回はタワーズワトソンによる高業績Managerの特性調査を基に開発した”Manager Redefined”という中級管理職向けトレーニングプログラムを紹介させていただきます。このトレーニングパッケージは英語を初めとした多国語対応を行っており、タワーズワトソンのグローバルネットワークを活用して、各国ローカルのコンサルタントから現地語での実施が可能であり、迅速かつ効果的に世界展開を行うことが可能になっています。

さて、タワーズワトソンが2012年に実施したGlobal Workforce Studyの結果によると、高業績ManagerとそうでないManagerにおいては、以下の点において仕事の進め方、部下との接し方に大きな違いがあることが分かっています。掲載したデータは明らかに希望の上司像そのものですが、実際にどうやれば良いのか、どう自分事として受け入れるマインドセットを作れば良いのかは、簡単には思いつきません。

図1(高業績Managerの特徴)

私の直属上司は、 同意した割合
高業績 Manager 全体平均
仕事がうまくいったときには頻繁にほめてくれる 67% 49%
スキルや能力に合わせて仕事を割り当ててくれる 82% 63%
仕事がうまくいくように障害を取り除いてくれる 75% 53%
新しいアイデアや手法を積極的に認めてくれる 78% 57%
業績と処遇を公正に結び付けてくれる 67% 47%
部下の強みと弱みを認識してくれている 71% 50%
異なる意見にも耳を傾けたうえで結論を出している 74% 53%
業績を上げるための指導・育成をしてくれる 71% 49%
目標や期待役割を明確に伝えてくれる 81% 58%
部下に対して十分な時間を使ってくれる 64% 46%

タワーズワトソンは、高業績マネジャーの仕事の進め方を、一つの基盤の上の4つの要素としてモデル化し、それぞれを高めていくための効果的なトレーニング手法として体系化し、グローバルで展開しております。

図2(Manager Redefinedのトレーニング内容)

仕事を創る
Crafting Jobs
  • 個人の資質を見極めて、適切な仕事を任せてポテンシャルを引き出す方法
  • 持続可能なエンゲージメントを生み出すための面白い仕事や仕事環境の創り方の技法
人材を育てる
Developing People
  • 目標設定-指導・育成-フィードバックの三位一体の結び付け方
  • 部下のキャリア計画の立て方
  • 考え方や行動の仕方の指示・育成方法
処遇を決める
Delivering the Deal
  • 部下のエンゲージメントの重要性
  • 内発的動機づけと外発的動機づけ
  • 上司がコントロール/影響を与えられるものとそうでないもの
  • 認知の効果
変化の弾みをつける
Energizing Change
  • 変化の認識のされ方
  • 変化促進役としての上司の仕事
  • 抵抗レベルに応じた対応方法
  • 考え方の枠組みと枠外での考え方
信頼性と信頼感
Authenticity and Trust
  • 信頼性の作用
  • 信頼感形成に重要となる要素
  • 公正な対応

トレーニングの内容について、一例を挙げましょう。海外拠点におけるグローバルでの事業連結、業績管理および人材開発のためにはPerformance Managementの充実は必須になります。Managerが各部下に達成すべきゴールとそこへの道筋を示し、達成を支援し、結果について次につながるようフィードバックをすること、これは結果を出すManagerとそうでないManagerで実施内容が大きく異なっています。ただ、未だにトレーニングで教えている内容は、SMARTや心理的バイアスを取り除く方法等が中心となっているケースをよく見かけます。

Manager Redefinedのプログラムにおいては、良いManagerは目標設定の際、SMARTなだけではなく、FAMICの観点も盛り込むべきであるし、フィードバックの際にはFITEAMの観点に注意するよう教えていきます。

図3(目標設定のSMARTとFAMIC)

Specific (理解にズレが生じない)
Measurable (期末に評価可能)
Agreed-upon (上司との合意)
Realistic (非現実的でない)
Time-bound (期限付き)
Few in number and focused (少数テーマに厳選)
Aligned individually and organizationally (個人や組織との軸合わせ)
Mastery-building (成長へのつながり)
Incremental (徐々に目標引き上げ)
Controllable (努力次第)

図4(フィードバックのFITEAM)

Fairly determined (公正な判断)
Individual, not comparative (他者との比較でなく本人)
Task-focused, not person-focused (人格でなく業務の視点)
Error-tolerant (良い失敗は許す)
Action-oriented (行動事実を基に)
Matched with the cadence of work (都度タイムリーに)

タワーズワトソンは、組織・人事コンサルティングファームとしてのManagerに関わる幾多の問題解決を通じて得た知見、データを豊富に保有しており、Manager Redefinedはそのノウハウをつぎ込んだ中級管理職向けのトレーニングパッケージとなっております。内容としては標準二日間のプログラムで、座学、ケーススタディ、自己振り返りやディスカッションを通じた気付き等、飽きさせない内容になっております。

また、コンテンツの内容についても、クライアント毎の事業環境、戦略や価値観に合わせてカスタマイズしてご提供したり、トレーニングを通じて得た課題認識に対するコンサルティングのご提案をさせていただくことも可能です。

図5(コンサルティングとの連携)

コンサルティングとの連携

ご興味、ご関心がございましたら、是非お問い合わせください。


▓ 執筆者プロフィール

河原 索(かわはら・さく) コンサルタント

政府系機関を経てタワーズワトソン入社。
当社入社後は、組織の変革と人材の成長を目指した課題解決を中心とし、数々のコンサルティングに従事。
ICU卒、慶應大院卒。

著書 :
Newsletter - 組織・人事コンサルティング :
2013年6月号 人材マネジメント(HRM)とタレントマネジメント
2012年12月 再建人事 -人事が担うべき企業再建への取り組み-
2012年4月 グローバル人事と社内政治(後編)
2012年3月 グローバル人事と社内政治(前編)
2011年11月 グローバル人事の要諦はリーダー / マネジャーの強化(後編)
2011年10月 グローバル人事の要諦はリーダー / マネジャーの強化(前編)
2011年5月 グループ経営と世界規模での人事再編(後編)
2011年3・4月合併号 グループ経営と世界規模での人事再編(前編)

旧Watson Wyatt Newsletter :
2009年11月号「変革人事」と「本格人事」(後編) ~成長し続ける会社の人事の秘訣~
2009年10月号「変革人事」と「本格人事」(前編) ~来年の人事ミッションを決めるにあたって~

2006年以降の旧Watson Wyatt Review :
Vol.42 【グローバル人事原論】 次世代人材マネジメントITによるグローバルフラット人事意図しない段差の除去とグローバル人材サプライチェーンの実現
Vol.41 【ヒト・リスクのコントロール】 不確実性を成長に変える意思決定組織の意思決定スタイル変革(その1)
Vol.40 【再生「ヒト資本開発力」】 摩擦のある組織づくり距離感が開く中での組織・人の進化
Vol.39 【多様性を活かす】 多様性を形作る異質性、普遍性そしてパワーそれを期待される側の立場に立ち
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